イチオシBOOK~ムーミン谷の十一月~
『ムーミン谷の十一月』。
信じられないことに
この本にはムーミン一家はいっさい姿を現さないのであります…
↑『ムーミン谷の十一月』挿絵、インク、1970
初めて読んだとき、
「そんなのありかよ」
と思い、ページをめくってムーミン一家の姿を探しました。
が、ムーミンが出てくる挿絵すらなし。
↑『ムーミン谷の十一月』挿絵、インク、1970
どうやらムーミン一家は旅に出ている、というシチュエーション。
しかも、この本がなんとムーミンシリーズの最終作。
スナフキンやホムサ、ミムラらがムーミン一家について、それぞれがそれぞれの思いを巡らす…
これがトーベ・ヤンソンのマジックなのであります。
↑『ムーミン谷の十一月』挿絵、インク、1970
ホムサは、スナフキンのテントの前を通るついでに、きいてみました。
「きみは、いつ、いなくなってしまうの」
「さあ、そいつは、ぼくにはわからないな。そのときしだいさ」
と、スナフキンは答えました。
(『ムーミン谷の十一月』P296)
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